旦那様は高校教師
「う゛寒い」
電車を降りると、身を切る様な冷たい風が顔を霞める。
私は無意識に体を小さく縮め、校門へ向かう。
もうすぐ着く。
寒さももうちょっとだぁ。
プップーッ!
足早に靴箱を目指していると、近くでクラクションの音が響く。
此の音…心ちゃんの車?
振り返った先には、心ちゃんの愛車のスポーツカーが駐車場へ入ろうとしていた。
「先生ごめんなさ~い」
入り口を塞いでいた数人の先輩達が、跳び跳ねる様に端へ避ける。
「ヤッタね♪朝から星野先生に会っちゃった♪」
先輩が大きな声で喜び合う。
私は聞こえない振りをして教室へ急いだ。