旦那様は高校教師


永田の言う事は良く分かる。



でもな、俺には大切にしたい物があるんだよ。



其れはほたるの気持ち。



自分のエゴで、真っ直ぐで純粋なほたるの心を、踏みにじる様な真似は出来ない。



俺はあの日…プロポーズした時から決めている。



ほたるの笑顔は絶対に守る!!と。



だから俺は自分の感情より、ほたるの気持ちを最優先したんだ。



今後もし、ほたるの選んだ答えが棘の道だったとしても、俺は共に歩んで行くよ。



キーンコーンカーンコーン。



授業始まりのチャイムが、相談室イッパイに響く。



静かな部屋には煩い位、喧しく感じる。



「永田、引き留めて悪かったな!」



「いぇ…先生と話せて良かったです」



窓から体を離し、永田はドアへ向かって歩き出す。



「…ほたるちゃんが毎日幸せそうに輝いて見えるのは、先生の愛の力があったからなんですね…」



フッと照れ笑いを見せ、永田はいそいそと相談室を出て行った。





< 660 / 743 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop