旦那様は高校教師
トンネルの中央辺りに、人影らしきモノが見える。
南条か!?
急いで其処へ行きたいのに、小さいトンネルが行く手を阻む。
直ぐ其処なのに、思うように進めない。
俺はもどかしく思いながら体勢を変え、中央を目指した。
「南条!?大丈夫か?しっかりしろ!!」
小さく横たわる南条の体を軽く揺すった。
「せん…せ…い…」
今にも消えそうな、か細い声が返ってくる。
意識はあるようだが、息遣いが荒く苦しそうにしている。
額に手を当てると、素人の俺でも分かる位熱い。
迷っている暇はない!
俺は南条を抱き抱え、四苦八苦しながら狭いトンネルを抜け出した。
「次郎、お前も来い!」
助手席に南条を寝かせ、荷物しか置けない後部座席の狭いスペースに次郎を乗せて、病院へと急いだ。