旦那様は高校教師
出生の秘密
受付を済ませ、名前を呼ばれるまでの間、南条を腕に抱いて待った。
時々、俺の頬に南条の額が触れる。
まだ熱いな…。
グッタリした此の姿を見ると、胸が痛い。
あの時…親戚の家に行った時、公園を探していればこんなに苦しい思いをさせずに済んだのに…。
後悔の波が押し寄せる。
「南条さん、中へどうぞ」
看護師さんに呼ばれ、南条を診察室へ運んだ。
「2·3日しっかり休養すれば大丈夫でしょう。今日は点滴して、終われば帰って良いですよ」
そっか…帰れるのか…。
ホッと安堵の溜め息が漏れる。
あっ!帰って良いと言う事は、親戚の家に南条を送ると言う事。
事情はどうであれ、伯母さんに連絡しないといけない。
ハァーーーッ。
俺は重い足取りで車へと戻った。
「次郎?南条は大丈夫だからなぁ」
後部座席の足元に大人しく伏せてる次郎を撫でた。
1分…2分…時間だけが過ぎていく。
あの伯母さんは苦手だけど、此処でじっとしてても仕方ない。
良し!!
意を決して俺は電話を掛けた。