旦那様は高校教師
「あの…1つだけ教えて下さい。何故ほたるさんに辛く当たるんですか?」
きっと今、電話の向こうで伯母さんの顔色が変わったはず。
恐らく、一番触れて欲しくない部分だから。
『何故って、他人だからに決まってるでしょ!』
一番聞きたくなかった2文字が、伯母さんの口から返って来る。
「他人って…貴方の姪じゃないですか!?そんな言い方はないと思いますけど!!」
感情的になる自分を必死に押さえ込む。
だが逆に伯母さんの感情は高ぶってしまい、止まる事なく一気に話す。
『ほたるは弟が他の女に生ませた子供なの。弟の嫁に子供が出来なかったから養女にしたのよ…』
南条が養女…!?
衝撃的な事実を聞かされ、俺は言葉を失った。
『でも本当に弟の子か怪しいものよ!母が亡くなってから兄が引き取ったけど事業に失敗し、姉は体が弱く入退院の繰り返し…だから仕方なく、私が引き取ったのよ!!』
成る程…伯母さんは体裁や世間体の為に南条を引き取った。
だから、可愛いとか愛しいと言った優しい感情が芽生えないままなんだ!
「其の事、ほたるさんは知っているんですか?」
『さぁ?たぶん知らないと思いますよ』
そうか…南条は養女の事、知らないのか…。
知らないなら此のままの方が良い。