旦那様は高校教師
俺は考え事をしながら、無意識に南条の頭を撫で続けていた。
夢を見ているのか、時々うなされたり苦しそうな呼吸をする。
「南条!?大丈夫か?」
咄嗟に手を握ると、南条の顔が嬉しそうに笑う。
其の笑顔がとても愛しく、傍を離れる事が出来なかった。
点滴が終わると、南条と次郎を車に乗せて、親戚の家へ向かった。
「まぁ先生、有り難うございます。ほたる!さっさと降りなさい!!」
伯母さんは助手席で眠る南条を、無理矢理にでも起こそうと、手荒に揺する。
折角寝てるんだから、起こさなくても良いのに…。
「あの…。自分が部屋まで連れて行きます」
俺は南条を抱き抱え、伯母さんに部屋まで案内してもらい、敷かれた布団にそっと寝かせた。
本当に、南条を此処へ置いて行って良いのか?
伯母さんに任せて大丈夫なのか?
不安な事が沢山ある。
でも長居は出来ない。
「南条の事、宜しくお願いします」
俺は後ろ髪を引かれる思いでアパートへ帰った。
2・3日は南条には会えない。
そう頭では分かっていても、実際に顔を見ないと心配で何も手に付かなかった。
そして翌週の月曜日。
南条の元気な姿を見て、俺は漸く安心した。
心矢目線 END