旦那様は高校教師
親戚の家
帰り道、私は学校での事を振り返る。
新しいお友達に、素敵な先生…。
まさか此れが運命の出逢いだなんて気付くはずもなく、私は嬉しい気分で桜並木を抜けた。
見慣れた住宅地までやって来ると、軽やかだった足取りは次第に重くなっていく。
後…どの位で着くかな…。
帰りたくない…。
私にとってあの家は、苦痛でしかないものになっていた。
「ただいま…」
声を掛けるも、誰からの返事もなく静かにドアを閉めた。
此処から…私はただのお荷物となる。
帰ると待っているのはお風呂やトイレの掃除、犬の散歩。
やるのが当たり前だと言いつけられた事だけど、其れを義務だと感じた事は無い。
だって掃除は心まで綺麗にしてくれそうだし、動物も好きだから。