同居ゲーム
「はあ〜あぁぁ。」
ため息をついて机に頭をぶつけた。
「ちょっ、お前何やってんの!?」
宏樹が慌ててあたしを揺り起こす。
「何でもないよ。」
ぐだっとタコのように崩れると今度は彩華が言った。
「何かあったの?」
ニヤニヤしながら訊かれても。
絶対無難な答えしか返しちゃいけないって感じで答えづらい。
「今のあんたに馬鹿正直に答えちゃいけないってあたしの本能が言ってるから。」
「何よそれ。」
ぶっ飛ばすよ、と凄む彩華は宥め、宏樹があたしの目線に合わせてしゃがみ込んだ。
「なぁ、ホントどうした?」
「ホント何もない。
ちょっと思い出して恥ずかしくなっただけ。
宏もあるでしょ、そんなの。」
「あ〜…。」
わかった、というように何度も頷き、宏樹は立ち上がる。
「そういうときってある。
俺、無意識に唸ってんよ、そういうとき。」
「あたし唸りそう。
誰か止めてね。」
「女の友情にかけてそれは阻止してあげるから心配すんな。」
グッと親指を立てる彩華が頼もしい。
あたしも力なく返した。
「それにしても、あたし恥ずかし〜。」
「何したの?」
「マイナス思考全開にしちゃって…。
それ怒られたの〜。」
「誰に。」
前の席の椅子を引っ張って座り込みながら、彩華がおもしろそうに訊いてきた。
「知り合い。」
「男?
女?」
「男〜。」
きゃっほいとあからさまにおもしろがる彩華を止めながらも宏樹も興味津々だ。
「で、で!?」
「それだけ〜?」
「他に何を期待してるのよぅ。」
ブーと顔をしかめる。