同居ゲーム
キャラメルは無理で、レモンは好き。



「果汁みたいな甘さならいいんだけど、キャラメルみたいな甘さはダメだね。」


「やっぱり。
俺はどう見える?」


「ん〜。」



何でもいけそうなイメージ。



でも、敢えて言うなら…



「オレンジとか?」



と、央は目を見開いた。



「正解!
すげぇよ由宇希、一発で一番好きな味当てた!」


「うっそ、当たったの!?」



なんか二人で盛り上がった。



「央は意外に甘い物好きそうだなって思って。」


「うん、好き。
由宇希は嫌いなんか?」


「あたしも甘いの好きだよ。
ただ、さっきも言ったようにキャラメルとかああいう甘ったるい物が嫌いなの。」



なるほど、と央は頷いた。



アイスでもキャンディでも、キャラメルは無理。



勿論、本物のキャラメルは歯にもくっつくし嫌い度倍増だ。



「そろそろ着くぞ。」



言われて顔を上げて外を見ると、見知った街並みが見えていた。




電車が減速して、やがて止まる。



「降りるぞ。」



さり気なく、央はあたしの膝の上のバッグを取り上げた。



あ…。と思ったけど、これは央の気遣いだろうから、素直に持ってもらうことにした。



「ありがと。」



言いながら央の横に追いすがる。



「ん?」


「持ってくれて。」



バッグを指差すと、照れを含んだ声が返ってきた。



「別にッ。」



背の高い央を見上げる。



そういえば、今一緒に住んでる男子の中で央が一番背が高い。



岩谷さんが二番、残念ながら海斗は美喜さんと同じか少し高いくらい。



スラッとした央は今考えてみるとカッコいいのかも。



初めて会った時はドキドキしてちゃんと見なかったから、第一印象は目についたシルバーアクセに。



ジーッと見ていると、央はまた照れたように「なんだよ。」と言った。



「別にッ。」



央が言った言葉で返してやると、少し複雑そうに唸った。






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