同居ゲーム
「そうなのかな?」


「俺にはわからないよ。
でも、俺はその可能性が高い気がするなぁ。」



困ったように笑う海斗。



どうしよ…。



「あたしに出来ることってあると思う?」


「どうだろ。
さり気なく優しくしてあげたら?
話聞いてる分に、彼氏の方が疲れてるみたいだから話聞いてあげるとか、少しでも楽になることを考えてみたら?」


「うん、やってみる。
でも、余計なお世話になってしまわないか心配…。」


「困ったような表情になったら、サッと切り上げる。
これ、大事だね。」



あたしはコクコクと頷いた。



なんだか海斗の豊富な経験がかいま見えた気が…。



「貴重なアドバイスありがとうございます。」



「いえいえ〜。」



思わず頭を下げると、海斗も三つ指をついて返してきた。



「由宇希も大変だね。」



頭を掻くあたしを笑いながら労ってくれた。



「あたしはそんなに苦にはなってないよ。
付き合い長いし。」



ただ、二人がお互い傷つけ合うところはキツいから見たくないなぁ。



そう呟くと、海斗はあたしの頭に手を置いた。



「なっ!?」



驚いて顔を上げる。



「あ、ゴメン。
慰めのつもりで…。」



逆効果だったかな、と少々沈む海斗に申し訳なく思った。



「明日、早速頑張ってみるね。」


「うん。
女友達のフォローも忘れちゃダメだよ。」


「はい。
じゃあ、あたし戻るね。」


「うん。
俺、もうこのまま部屋にいるね。」



わかった、と促すながら立ち上がる。



少し寂しいが海斗にも都合があるんだろう。



「おやすみなさい。」


「おやすみ、由宇希。」



急いでドアを閉めた。



顔が…。



顔が、火照った。



年上だからかな、なんだか恥ずかしい感じ。



「さぁ、寝よ。」



パンッと足を叩いて、あたしは自分の部屋に入った。



……ムワンとした熱気があたしを襲った。 












< 122 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop