同居ゲーム
とあるファーストフード店の一角に陣取ったあたし達。



そこで宏樹が口を開いた。



「俺、お前と別れたい。」



あたしの横に座った彩華を真っ直ぐ見つめ、宏樹は言った。



隣の彩華を見れない。



なんの未練も、迷いもない真っ直ぐな目をした宏樹の顔が斜め前にある。



嫌だ。



何か壊れてく気がして、あたしは視線を落とした。



他のカップルは、『別れよう。』『なんで?』『もう、無理なんだ…。』とか、会話があるって聞いたのに、もうずっと沈黙が続いている。







「俺、帰るよ。」



注文した飲み物の氷が溶け去ってから、宏樹が立ち上がった。



「宏…。」


「彩華も今話すの無理そうだし。
悪いけど、彩華送ってやって?
無責任だけど、今は俺も無理。」



俺がおごっとくから、と言い残し、宏樹は店を出て行った。




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