同居ゲーム
「なんで由宇希なんか庇うのよ！
あたしが被害者なのに！」


「こいつは何も知らねぇよ！」



今や、クラスみんなが二人、いやあたし達に注目している。



「こいつって、随分仲良さげね。
あたしの知らない間にそういう関係になったってことじゃないの？」



ふん、と口を歪めて笑う彩華。



その顔が怖くて。



態度も、目も何もかもが今は怖い。



あたしは無意識に宏樹の服を握った。



と、それに気付いた彩華が鋭く叫ぶ。



「何してんのよ！」



叫びながらあたしを突き飛ばした。



あたしは呆気にとられてそのまま倒れる。



ガタンと机にぶつかる音が静かな教室に響いた。



「おい！」



怒鳴った宏樹が彩華に飛び掛かる。



大きく振りかぶった腕は、彩華を殴るべく頬に伸びた。



「宏樹！」



と、そこまで黙ってみていた宏樹の友達が泡を食って止めにかかった。



「放せ！」



今まで聞いたことのない宏樹の怒声にあたしはすくんで動けなくなった。



「こいつ殴らなきゃ気が済まねぇ！」



大きく体をよじって何とか友達の腕から逃げようとする宏樹。



形相がすごい。



優しい目は鋭く、彩華を射るように睨んでいる。



歯はきつく噛み合わされ、額には筋が浮かんでいる。



怖い。



こんな宏怖い。




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