同居ゲーム
みんながやれやれと力を抜いたその時、川端さんが初めて声を発した。



「嫌。」



震える声で一言言って、立ち上がる。



「あたしは、出ていきたくない。」



ここまで言われて、まだ暮らそうとするなんて…。



あたしは唖然と川端さんを見つめた。



「川端、あんたさぁ。」


「あたしは悪くないじゃないですか。
全部、あの人が悪いんじゃないですか。
あたしは、本当のことを叔父さんに言っただけじゃないですか。」



手を握りしめて堰をきったように喋り続ける。



「あたしッ、あたしは、ただ海斗さんによかれと思って…。」


「俺によかれと思って?
ならなんで裏から手を回すようなことしたんだよ。
叔父さんに告げ口するんだよ!?」



もう止まらない。



あたし達はそう思った。



美喜さんに手を引かれて、あたしはソファーに座る。



みんなもつられたようにソファーに座った。



ここは海斗と叔父さん、川端さんの戦いだ。



あたし達が口を出せる状況じゃない。



「叔父さんも、なんで今さら家に乗り込んでくるんだよ!?
夏に条件付きで俺が家出るの認めただろ!」


「い、いや、あの時は一人暮らしか寮だと思ってたから…。」


「一人暮らしよりこっちの方が安全だろ!



「でも、女もいるし…。」


「家計の切り盛りしてくれてるし、食生活も男だけよりいいものになってる!」


「しかしだな…。」



荒い息を吐く海斗を前に、叔父さんはしどろもどろ。



「とにかく、俺はあと3ヶ月ここにいますから。」



十分に叔父さんを睨みつけた後、海斗は落ち着いた仕草でソファーに座った。




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