同居ゲーム
「足掻いても無駄ですよ。」


「え?」


「あなた、強制的にここから追い出されるんですから。」



みんな一様に怪訝な顔になる。



「みんな忘れてない?
この同居ゲームのことを他人に言うのはタブーだって。」



あっ、と央が声を上げた。



「そうじゃん!
例え親にも言うなって。」


「規則違反だ!」



美喜さんと央はキャッキャッと喜んでいる。



「川端、聞いてた?」



……あの様子からすると、聞いてたみたい。 



不安そうに目を泳がせている。



まぁ、屁理屈じゃ勝てないもんね。



「見たか、あたしの必殺カード。」



不敵に笑うあたしを涙で光る目で睨みつけ、川端さんはリビングから出ていった。



無言でそれを見送ったあと、美喜さんと央が飛び付いてきた。



「よくやったぞ、由宇希〜!」


「お手柄よ〜!」



ありがとうございます、と辛うじてこたえる。



と、央がいきなりひっぺがされた。



「由宇希に抱きつくの、へぇ。」



見る間に青ざめる央。



怖いよ海斗。



美喜さんと唖然と見ていると、ポンッと頭に手が乗った。



見上げると岩谷さんの優しい顔。



「よくやった。」



へへっ、と照れて岩谷さんを小突く。



「海斗〜、こっちにも手を出してる男が。」



何ッ!?と振り向く海斗。 



岩谷さんは慌てて手を退けた。




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