同居ゲーム
ちょっとしたご馳走を堪能した後、みんな何となくダラダラと過ごした。



これといってみたいテレビがあるでもないが、ずっとテレビを眺めている。



あたしはこそこそと海斗に近寄って、服を引っ張った。



「何?」


「勉強教えて?」


「あ〜、そっか、もう試験近いね。」



言いながら、海斗は立ち上がった。



ちょいちょいと手招きながら、おいでと口パクであたしを呼ぶ。



あたしはいびきをかいて寝ている央を起こさないようにソファーの間をすり抜けて、海斗のあとを追った。



パタンとリビングのドアを閉めると、手が握られた。



なんだかこの展開にも慣れ、あたしも素直に握り返した。



「央と問題集買いに行ったんだってね。」


「うん、行ってきたよ。」


「な〜んでかな〜?」



笑ってはいるけど、顔が怖かった。



え"?



「あたし、学校の問題集だけじゃ無理だから。




慌てて説明すると、海斗は「ん"〜」と唸って頭を掻いた。 



わけがわからずただ海斗を見つめる。



海斗はその顔のままあたしを部屋に押し入れた。



そして、いつもは「座んなよ」とカーペットやベッドを指すのに、今日は黙ってベッドに身体を沈めた。



「海斗、あたし、隣に座っていい?」



おずおずと尋ねると、海斗は無言で腕を広げた。





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