同居ゲーム



教室は異様な雰囲気に包まれている。



推薦で受けて、もう合格が確定している人と、倍率の高い高校を受けてヒヤヒヤしている人と。



それぞれが醸し出す空気がまざっていた。



あたしはそんなに成績がいいわけじゃない。



ヒヤヒヤするほうの組なんだけど、わりと気持ちが楽だった。



というのは、あまり前期に期待していなかったから。



海斗に勉強を教えてもらっているし、後期に向けて準備もしている。



まぁ、落ちて当然だし。



あたしはそう割り切った。



とは言っても、落ちたら落ちたでがっかりするんだろうけど。



先生がプリントの束を取り出した。



さらに空気が変わる。



「これから、発表します。
紙を渡したら、教室から出て、紙に書いてある結果を見て下さい。
そのまま帰ってもらって結構です。」



先生は一旦言葉を切って、みんなを見回した。



「教室を出たら、速やかに下校して下さい。
くれぐれも友達を待って冷やかさないように。」



はい、と誰かが呟いた。



あたしは自分の順番がくるまで黙って待った。




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