同居ゲーム
あたしと央は美喜さん、海斗、岩谷さんに向かい合った。
「行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
みんな、声をそろえてあたし達を送ってくれる。
「とうとう、卒業だね。」
うるうると美喜さんは目を潤ませた。
「あんた達がこんなに大きくなったなんて。」
「まだ出会って1年じゃねーか。」
突っ込む央の声をどこか湿っている。
「俺達、見に行くからな。」
岩谷さんがぶっきらぼうに言った。
「えっ、いいよ。
岩谷さん達はもう先に卒業しちゃってるからいいけど、海斗は学校あるでしょ。」
「1日くらい、抜けてもいいよ。」
「学校抜け出してるの、1日くらいじゃないでしょ。」
海斗は笑って誤魔化した。
「あたし達、見たいの。」
美喜さんは顔を歪ませた。
直後、涙が頬を伝う。
「おい、美喜泣くなよ。」
あわてたように岩谷さんは美喜さんの肩を掴む。
「だって、なんか泣ける。」
「っとに。
おい、お前ら早く行かないと遅れるぞ、卒業生。」
「あ、うん。」
あたし達はいってきますともう一度言って、家を出た。