同居ゲーム
「驚いた、美喜さん結構涙もろいんだね。」


「なぁ。
俺達本人は泣いてないのにな。」



ははっと央は笑って、真顔になった。



「でも、結構嬉しいもんだよな。
俺達をおもってくれてるんだよな。」


「だね。
…なんかあたし、そっちのほうに泣きそう。」



泣け泣け、と言う央の声はやっぱりどこか湿っていた。



エレベーターに乗り込み、あたしは外を眺めた。



今朝の景色もきれいだ。



「ねぇ。」


「ん?」


「もう、この同居ゲームも終わるんだよね。」



央から返事はなかった。



「あたし、学校を卒業するよりさみしいな。」



央の手が、優しく頭に乗った。



「俺も。
こんなに大好きな友達なんか、他にいないしな。」


「…なんかしんみりするの、よくないね。
最後の登校なんだから、楽しくワーッと行こうよ。」



「はいよ。」



乗っていた手が、一度あたしの頭を叩いて離れた。













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