同居ゲーム
ふわり、と髪が一房頬に触れた。



下を向いていたけど、横目で見えた。



綺麗にカールした髪。



あたしの髪なのに、不思議な感じ。



そっと持ち上げると、毛先が軽く伸び縮みして揺れる。



バネみたいだ。



中の輪に指を通して遊んでみた。



内側に飛び出ている短い毛が、指に当たってくすぐったかった。



「…なんか、子供みたい。」


「え、えへっ。」



取り敢えず指を抜く。



行き場をなくした指は意味もなく空中を彷徨った。



「珍しいな〜って。」


「これから好きな時に巻いてあげる。」


「ありがとう。」



最初は少し腰が引けていたけど、今は嬉しくて仕方ない。



またおろされた髪をつまみ上げ、左右をに振る。



しなやかに揺れた。



< 63 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop