同居ゲーム
お風呂上がり、あたしはバタンとベッドに寝転がった。
今日はいい日だったなぁ。
海斗は何か吹っ切れたみたいだし。
これからはまた前みたいにいっぱい話せるのかな。
家から持ってきている大きめの抱き枕を胸に抱いた。
なんだか、岩谷さんが海斗だけじゃなくあたし達にも優しい言葉をかけてくれたし。
嬉しかった。
正直、お母さんを覚えていない。
優しくしてくれたのは覚えているけど…。
どんな言葉をかけてくれたかとか、どんな声だったとか。
細かなところは覚えていない。
だから、今日岩谷さんの話を聞いた時は少し泣きそうだった。
本当の家族みたいで。
長く暮らしてはいないのに。
あたしは涙が出そうになって抱き枕に顔を埋めた。
新しいお母さんとは短い付き合いで。
あたしはもう大きかったし、向こうも気を遣ってくれてた。
だから、余計に「お母さん」と「娘」にはなれなかったんだと思う。
あたしは友達みたいなものだと、今の関係に納得しているけど、向こうは違うみたい。
あたしが認めていないと思ってるのかな?
態度が冷たくなって来ていて…。
拒絶されてるみたいだった。
お母さんが頭を回り出し、自分では止められなくなってくる。
岩谷さん、あたし変なことまで考えちゃったよ。
まぶたを閉じると、オレンジの世界が広がる。
電気消して寝ようかな…。