同居ゲーム
と、ドアが遠慮がちにノックされた。



「はぁい?」



誰?



背中だけよじってドアを見る。



顔を出したのは海斗だった。



「海斗!?」


「ゴメン、いきなり。」


「ううん、どうしたの?」



慌ててベッドの上に座る。



「ちょっと話せるかな〜と。」


「勿論。
あ、座って。」



律儀に壁際に座ろうとしている海斗に、あたしはベッドの縁を叩いて見せた。



じゃあ、と素直に座ってくれて一安心。



そしてあたしは海斗が話し始めるのを待った。



「あのさ。」



沈黙の中、発された声にただ頷く。



「ゴメンね、色々と。
俺が勝手に塞いでただけだから、みんなは何も関係ないんだ。」


「うん。」



体育座りをして体を揺するあたしを横目で見て、海斗は話を続ける。



「家にね、ばれたんだ。」


「隠してたの?」


「うん。
色々うるさいから。」


「で、帰らなきゃいけないの?」


「ううん、帰らない。
突き通すよ。」



ってことは了承を得てないの?



バッと海斗を見ると、大丈夫だよと笑われた。



「俺は帰らない。
こんな楽しいのに、出ていくわけないよ。
この3ヶ月隠し通せたんだ、これからも何とかなるよ。」


「うん。
あたし、海斗といたい。」



クスクスと笑い声が降って来た。



「なんだか悩んでたのが馬鹿みたいだな。
さっさと由宇希に相談するんだった。」


「相談、してね。
あたしもみんなも待ってるよ。」



うん、と海斗は小さく呟いた。



悩んでたんだ、海斗。






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