私の死んだ後
エピローグ
あの人と出会ったのはいつだっただろう。



初めは好きではなかった。



彼のすることに軽蔑さえしていた。



優柔不断で女好きで卑猥な事ばかり口にしていた彼。



自分からではないけど、好きでもない女を抱きしめるような最低な男。



でも、彼に好きな人がいる事を知ってから見方が変わった。



その娘の前では一切卑猥な話はしないし、他の子とは違う接し方をしていた。



なんというか、大切に扱っていた。



作り笑顔に笑わっていない目。



そんな冷めていた彼が、その娘の前では満面の笑みに輝く瞳。



その娘が近付いて来ると明らかに雰囲気が変わっていた。



好かれている本人以外、誰が見ても彼はその娘が好きに見えた。



その時はまだ気付いて居なかった。



その時から…、いや彼を見つめ始めた頃から私は彼が好きだったのだ。


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