恋してキューピッド!
もしかして斬った現場を見られたのかもしれない。そう思ったらすごく不安になった。


でも見ていなかったようで、それを聞いてホッとしている自分がいた。


別に見られてたってヨカッタ。


どうせ殺すんだから。



でも刀は見えていた。


やっぱりあのときのキスで力が移ったらしい。


僕は適当に、それとなくウソをついた。



なんでも信じて疑わない美羽を騙すのは簡単だった。



でもなんだか胸が痛かった。



しっかりしろ


自分に言い聞かせた。



美羽の余命まであと2ヶ月。



仕事が終わればこの痛みもなくなる。



分かってるのに、騙した罪悪感でいっぱいな僕は次の日美羽を喜ばせたくてデートに誘った。




矛盾している!



思わず自分に突っ込む。



僕は初めてデートというものをした。


美羽は無邪気だ。


いつも屈託のない笑顔で僕を見る。


子どものようにはしゃぐ。




やめてほしい。


僕の芯がまたブレる。

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