恋してキューピッド!
『死神見習いなんですか?』




とうとう気付いてしまった。



きっと恋に何か吹き込まれたんだろうとすぐに感づいた。



余計なこと言いやがって。



美羽は僕が死神だと分かったらどう思うんだろう。しかも自分の命を狙っていると知ったら、


悲しむのかな。





『好きです』




急に胸が苦しくなった。


痛い。


息ができない。



やめてくれ。


好きだなんて


思わないで。



僕は死神だ。


死神になるんだ。




人間なんて興味ない。



僕の狙いは命だけ。




しっかりしろ!
余計なことは考えるな!
僕は美羽のことなんて好きじゃないしそもそも興味ないんだから。




胸の痛みを振り払うように僕は冷たくあしらった。








「それでも好きって言えんの。」




これで諦めてほしい。


嫌われれば、



僕も心置きなく、殺せるよ。



美羽の目からは大きな涙がこぼれて止まらなかった。



僕はそんな美羽を見たくなくて、何も言わずにその場を去った。



なぜか分からないけど、僕の目からもボロッと涙がこぼれていた。

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