瞼の人-マブタノヒト-
凌治と仲良くなるのに時間は掛からなかった。
不覚にも涙が溢れたあの日、関わりなくないって思ってた。
なのに、次の日からも何事も無かった様に毎日話し掛けてきた凌治。
もともと中学も一緒だから地元も同じで、帰りの電車が一緒になる事も多かった。
始めの内は話し掛けられても『うん。』とか『ううん。』しか答えなかったけど、いつの間にかタケと同じく話す様になってた。
ううん、もしかするとタケよりも話す時間が多いかも。
「サンキュ〜、助かる。今度まとめてお礼するよ。」
『期待せずに待っとく。』
話す前は解らなかったけど、話してみると見た目と違ってしっかりしてて他の同級生より大人で、
何よりも優しかった。