瞼の人-マブタノヒト-
教室の窓際の一番うしろの席。
ズルして勝ち取ったこの席が、今の私の一番のお気に入りだった。


「澪〜また海見てる。」

『ん。凄いきれぇ〜…』

天気や、私の気分次第で表情をかえる景色。
キラキラしてて見てるだけで気分が落ち着いた。


ここから見える景色がたまらなく大好きだった。


「本当にきれい。…海が見える教室で黄昏れる美少女!!青春だぁねぇ〜…」

『ユーリ…バカ??』


なにを〜とりゃって言いながら後から私に抱き着くユーリ。
二人で笑いながら騒いで
本当に青春そのものだったよね。


あの日の海は本当にキラキラ光ってて、あの頃の私達の姿を映してるみたいだった。



「「れい――――――!!
アホれい――――――!!」」


ユーリと顔を見合わせて、私の時間が止まった。


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