瞼の人-マブタノヒト-
…信じたくない、信じたくないけど呼ばれてるのは私。
それでも信じない!!


もともと目立つのは好きじゃない。
目立って良い事なんて今まで一つも無かったから。


中学の時だって、そう。
‘先輩の前で髪を触るな’とか‘先輩が通るまでお辞儀したまま顔を上げるな’とか訳の解らない決まり事だって文句一つ言わず守った。
挨拶だって毎日きちんとしてた。


それなのに挙がる名前。
【木田澪は生意気だ。】に
【木田澪は調子に乗ってる】だとか…


一体私が何をしたのか何処がいけなかったのか、反対に教えてほしかった。


ひっそりと目立たず平和に生きていきたいのに…


『マジありえない…‥あのアホ共…』

「澪、人気者じゃん。」

他人事だからって楽しそうに笑ってるユーリ。
じゃ、代わってよ…私の情けない声は、ユーリの満面の笑みと「嫌。」って言葉に消された。

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