瞼の人-マブタノヒト-
海が近いせいか吹く風が少し冷たく感じて、カーディガンだけじゃ少し肌寒くなってきた。


寒さから身を守るようにカーディガンの袖を伸ばし、今日ひっぱり出してきたマフラーを口元まで上げた。



今日の帰りも変わらずコンビニの前で、自分の定位置に座ってみんなと他愛も無い話に花を咲かせてた。





コンビニの駐車場で私の幼なじみで腐れ縁の健(タケル)に追い掛けられ、怖くて真剣に逃げているのはメグ。


それを見て『タケ、やめなよ。』ってクスクス笑ってた私。



そんな私の目を奪ったのはタケが怖くて泣き出したメグの姿でも、メグを泣かせて真剣に焦ってるタケの姿でもなく。









私のマフラーをほどいた大きな手だった。





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