瞼の人-マブタノヒト-
ゲタ箱に向かう私達の耳に届いたのはヒステリック気味な女の声。
たいして気に止めなかったけど次に聞こえてきた声は私の耳を捕える。
「…お前には関係ないだろ?」溜息と一緒に聞こえたその声の方に、無意識に視線が向く。
高宮君と目が合う。
高宮君の隣には腕に親しげに巻きつくあの子。
少し、少しだけ胸がズキンと傷んだ。
思わずそらしてしまった視線、視界の端に映る高宮君を気にしないで足早に校舎を後にした。
「…あの女マジで殴りたい。」
ユーリの物騒な発言、そこに続く花の
「高宮も高宮だよね。幻滅した。」
その声に一斉に頷く3人。
『ははっ!!!』
思わず笑ってしまったのはもちろん私で、そんな私を怪訝そうな顔で見る3人はそのまま釣られて笑った。
さっき視界の端に映った高宮君は私を見てあの子の腕を振り払った。
そして私に何かを伝えようと…した??
なんて気のせいか。