瞼の人-マブタノヒト-

「澪ちゃぁ〜ん、おまたせぇ〜」


2台の自転車と一緒に現れたタケと凌治。


『おっす〜。…タケさっきから、何?キモいよ?』

「お前だけは…口を開けたら可愛くないことばっかり…」



だってキモいんだもん。

心の中で思った事はそのまま顔に出てたらしくて、そのままタケにデコピンされた。


そんな私たちを呆れた顔で見てた凌治は


「おら!!兄弟げんかはそのぐらいにして…ほら行くぞ!!澪後ろ乗って。」

『こんな奴と兄弟なんてやー!!』



私の絶叫に今度は笑った凌治。


学校の外で会う凌治はよく笑う。

意地の悪い笑顔じゃなくて、優しい笑顔。



いつもこーやって笑えばいいのに。

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