瞼の人-マブタノヒト-

私は言われるまま凌治の後ろに跨がった。



「〜…だから…いつも言ってるだろ?足を開くな!!跨ぐな!!女の子だろ?横乗りしろよ!!」

『…だって横乗りカーブ曲った時そのま落ちる。』



「落とさねぇーよ!!」

『無理。怖い。昔ママの後ろ乗っててそのまま飛んだ事あるからマジ無理。…ほら、ちゃんとズボン履いてるし。ね。』

「はぁー…ちゃんと捕まっとけよ。」



そう言って走り出す。
前を行くタケは私の恐怖心を煽るように蛇行運転しては凌治の運転を邪魔してて…

これもいつもの事。




‘いつも’


そう、いつの間にか私は
凌治の後ろが当たり前になってて、ここが定位置になってた。

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