瞼の人-マブタノヒト-
サドルをギュっと握る私。
過ぎていく風に声を乗せて
『ねぇー!!今日何やってたのー??』
「えー!!何―!!」
この距離で聞こえないはずないのにね。
「…今日どだったー?」
『えー??何がー??』
「がっこう!!」
いつもよりずっと声を張ってする会話。
すぐに風が攫ってくれる。
なにもかも風に委ねて、自分に都合の良いように…
『タケのアホーーー!!』
凌治の質問には答えず、もっと大きい声をあげた。
何だか楽しかった。