瞼の人-マブタノヒト-
もったいぶって私の顔を見ながらあからさまにニヤニヤしだした2人。
何だか気持ち悪い。
「原チャで京都まで行ってきた。」
ビックリした。
『え?免許取ったの?いつ?』
「ちょっと前?凌治はずっと前から持ってたよな。俺はやっと誕生日来てすぐ取りに行った。」
嬉しそうにどこか自信に溢れて言うから、なんだかこっちまで嬉しくなっちゃう。
『いいなぁー。ね、ね、今度乗っけてよ?』
当然良い返事が返ってくるもんだと思ってた。
それなのに、タケが何かを言う前に被せるように綾治が言ったのは否定の言葉。
「だめ。絶対澪だけは乗せない。」
その隣のタケはちょっと呆れたように笑って、「だって。」と同調した。
ケチ。そう唇をとんがらせてみても、凌治の意見が変わるわけもなくて。
「ダメなもんはダメ。」と笑った。
その笑顔は優しくて、どこか嬉しそうだった。