フェザールスタの肖像
-Prologue-
「ごめん、本当に」
ユウが、頭をさげた。
ミュウには赤ちゃんが出来たから別れて欲しい。

私は、ユウの言ってる言葉を理解したけど

心は信じてないみたい、現実じゃないみたい。

でも、ユウは泣いてるし、ミュウはなんか私を凝視してる。

私、ここに居てはダメみたい。

私は、同棲二年目の彼氏を親友に奪われ、住む場所も親友も失った。

若干23歳、ドリュー.マクラーレン。

どん底を経験中。

私はその日の内に、彼、いや元彼の家をでた。

家具を分けるのも嫌だったから、本当に私個人の持ち物しか持たなかった。

スーツケースに下着と洋服、貴金属、鎮痛剤など小物類。

靴や本は実家に送ってくれる様にユウに、いや元彼に頼んだ。

母には、その場で電話をして別れると説明したが、私以上に理解できていなかった。

結婚すると思ってた…。なんて言われて泣けてしまった。
ごめんね、お母さん。

私は不動産屋にいき、サクサクと部屋を見学しズバッと決めた。
しかし、入居は三週間後。

行くあてがない私はユウ、いやロクデナシに頼りたくなかったし、実家には戻りたくなかった。

帰れば、父や母の怒りに油を注ぐ様なものだもの。


ゴロゴロとスーツケースを引っ張る自分の姿を、ショーウィンドウ越しに見て、思った。

「…これじゃ旅行中か家出人ね。」

私は、通帳の残高を思い出し、トコトコと旅行会社を目指して歩き出した。




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