フェザールスタの肖像
‡第1章‡飛行高度3万フィート
「おじょーさん、前を失礼するよ。」
いきなり片言の英語で話しかけられて、ビクッと
起き上がった私は顎を拭った。
良かった、よだれは出てなかった。
乱れたシフォンのスカートを直しつつ、足を横にズラした。
隣の座席に座っていた男性が私の前を通って行った。
おトイレかな?
眠たい目をこすりつつ周りを見れば
そこかしらにワイン瓶と
食べ散らかしたチーズが落ちていて
体の大きい外国人乗客が
無造作に足を伸ばして寝ている。
まるで、パーティーの後みたい。
機内は薄明かりで、所々、読書灯が着いていた。
座席前の大きなモニターには、地図上を飛ぶ飛行機が
音もなく映しだされている。
「到着まで小一時間てっ所だね、おじょーさん。」
先程の男性が通路を戻ってきた。
見上げて、初めて顔を見る。
青い目にグレイな髪とごま塩のあごひげが
印象的なハンサムでおしゃれな
60才位のオジサマだった。
「もう少しですね。」
私は、また足をズラした。
ツィードのパンツが目の前を通る。
「貴方は観光でいらしゃるのかな?」
オジサマが座席に座りながら聞いてきた。
「えぇ、友人を訪ねて。結婚式に出るんです。」
ニッコリ笑って答えた。
実際には友人なんていない。
女の一人旅だとあからさまに宣伝したくはなかった。
とっさの嘘で、友人の結婚式……。
ユウとミュウの顔を思い出して、私は自分にうんざりした。
傷に塩を塗り込んでどーする!自分。
いきなり片言の英語で話しかけられて、ビクッと
起き上がった私は顎を拭った。
良かった、よだれは出てなかった。
乱れたシフォンのスカートを直しつつ、足を横にズラした。
隣の座席に座っていた男性が私の前を通って行った。
おトイレかな?
眠たい目をこすりつつ周りを見れば
そこかしらにワイン瓶と
食べ散らかしたチーズが落ちていて
体の大きい外国人乗客が
無造作に足を伸ばして寝ている。
まるで、パーティーの後みたい。
機内は薄明かりで、所々、読書灯が着いていた。
座席前の大きなモニターには、地図上を飛ぶ飛行機が
音もなく映しだされている。
「到着まで小一時間てっ所だね、おじょーさん。」
先程の男性が通路を戻ってきた。
見上げて、初めて顔を見る。
青い目にグレイな髪とごま塩のあごひげが
印象的なハンサムでおしゃれな
60才位のオジサマだった。
「もう少しですね。」
私は、また足をズラした。
ツィードのパンツが目の前を通る。
「貴方は観光でいらしゃるのかな?」
オジサマが座席に座りながら聞いてきた。
「えぇ、友人を訪ねて。結婚式に出るんです。」
ニッコリ笑って答えた。
実際には友人なんていない。
女の一人旅だとあからさまに宣伝したくはなかった。
とっさの嘘で、友人の結婚式……。
ユウとミュウの顔を思い出して、私は自分にうんざりした。
傷に塩を塗り込んでどーする!自分。