フェザールスタの肖像
私達は本棚の前で、言葉を失ったままでお互いを見た。


「お前はー!」

男はグイッと私を本棚の窪みから引っ張り出し、壁を探る。

ギギギッ、と渋いを音を立てながら壁が動く。
小さな階段が見え始めた。

「愛しき姫よ、下階の部屋まで続きます。また、のちほど。」

男は有無を言わさず赤いドレスの女を階段に押し込める。
女はそそっと階段を降りはじる、下はほのかに明るい。

男は壁を閉めて、私を見た。

「まさかずっと、ここに?」

口をパクパクさせるだけの私の腕をとり、テーブル付近まで力任せに突き飛ばした。

ドレスに足を取られ、ドサッと倒れる私に男が乗り掛かる。
「痛い!」
強引に胸元のドレスとコルセットを力一杯引き下げられた。

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