フェザールスタの肖像
男達が部屋を出て行った後も、私を抱きしめる力は緩まない。
「……行ったか…」
腕の力を抜き、私を解放したけどすぐさま背を向けた。
「手荒な事をしてすまなかった、身なりを整えてくれまいか?」
私は急いで胸元のドレスを引き上げた。上手くコルセットも上がらないし、投げ出された腕も打ち付けたのか、痛みだしている。
………情けない、こんな事された上に文句一つ言えずにいる自分。
「こんな事をして、恥ずかしいと思わないの?大方、浮気現場でも押さえられそうになったんでしょ?!」
男の背に目を向けると、長い銀髪が見える。
ぶっ。と吹き出した男にますます腹が立つ。
「女はこういう事は鋭いな…あながち間違ってはいない。」
くるりと振り向くと、私は息をのんだ。
月の光に浮かぶその顔は

「フェェザァァールッスタの銀髪の騎士!!」
思わず、指差し確認。

「フェザールスタだ、発音がおかしい。」
ぱくぱくと口を動かす私にムッとして言ったが、そんな事今はどうでも良いよ!

「んあで、なんで居るの??どうして??あ、仮装?王子の仮装?」
「何を言っているんだ?仮装は当たり前だろう。マスカレードなんだから。」

ム?と頭を傾げて
「お前…、
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