フェザールスタの肖像
ギュスターヴは背後に周り、椅子の背もたれに腕を掛けた。
私はあの部屋で起こった事を何処まで話すべきか考えた。

マスカレードで倒れて部屋で休んでた所から?

王子が赤いドレスの美人とエッチを始めた所?

挙げ句に男達に踏み込まれそうになって、身代わりにされた事?

うーん、マズいよね。

多分、マズい。赤いドレスの女性は何だか隠し階段で

にげたし、探しに来た男達は殺気だってた。
あれは王子の立場がマズいはず。
それに私も恥ずかしい。

言いあぐねているうちに、メイドが白ワインを持って、

それをギュスターヴが2つ受け取り、私に一つ渡してくれた。

きれいな蜂蜜色をした白ワイン。

一口、口に含む。
teaからhoneyへ移り変わる香りが体中に広がり、

「あぁ美味しい…」

思わずため息混じりに出てしまい、ギュスターヴをチロリと見上げる。

ギュスターヴは片眉を上げて小さくクッと笑う。

和らげで丸く巻くくせっ毛が少しいかつい顔に
よりそう様に額からあごまで優しいラインを描いている。

知性的だけどどちらかと言うと、野性ぽい。

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