フェザールスタの肖像
「ワインなんかでごまかされんぞ。早く言え。」
ギュスターヴが頭を下げながら私の横で小声で言った。
「王子様にお聞き下さい、ここまで来たのも王子様から言われてだし…。大体、拐かしたならかどわかした方が悪いでしょう?
私も上手く説明できませんっ。」

思わず口から出てしまった。
喧嘩腰の口調に一瞬、ギュスターヴの雰囲気が変わった。
怒っ!てっ感じ。

マジマジと見つめられても視線は外さない。
「……わかった、王子に聞く。かわいそうだか、王子に期待はするな。忠告だ。」

バサッとマントを羽織り直してテントを出て行くギュスターヴ。
ムカッとしたけどガマン。
私もテントから出てギュスターヴを追いかける。

王子は着飾った女達に囲まれ、談笑してる。

女達は何というかわかりやすい位に王子の関心を得ようと声高く笑う。

多分、ギュスターヴにはあんな女性達と同じ様に思われてる。

何故かユウの顔を思い出した。
最初にユウを紹介した時もミュウもあんな感じだった。
私はミュウは友達だし、ユウは彼氏だしと2人の雰囲気を見ない様にしてたのかも知れない。

バカみたい。
端から見ても、権力と男に媚びてる。
しかも、それを王子は許してる。
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