フェザールスタの肖像
ギュスターヴを見上げつつため息をついた。

「どうした?」
声を聞きつけたのか、王子がこちらに歩いてくる。
取り巻きの女性達もクスクス笑いながら近づいきた。
なんだか嫌な雰囲気を感じて身構える。たいまつの火が揺れる度に王子の顔に落ちる影も揺れて、上手く表情が掴めない。

今、どんな顔してるの?


「お待ち下さい!アンジェさまっっ」

何処からか叫ばれた声の元を探す為に左右に頭を回してみると、私の背後から先ほど、お付きの人々とマイマール卿を従えていた
あの長い金髪をふわふわと揺らして歩いた少女が走って王子の腕に飛びついてきた。

アンジェと呼ばれた少女を追いかける様に赤いドレスの女もこちらに小走りでやってくる。
それを見た王子の取り巻きの女性達は頭を下げつつ波が引くように後ろに下がっていく。

うーん、なぜかアンジェさんは特別扱いね。

私とギュスターヴは会釈して、王子となんだかエライ人らしいアンジェ様を迎える。

「早く夜咲鳥をみたいわ、王子。」
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