フェザールスタの肖像
家来の一人が弓矢を持って近寄り、王子に渡した。


王子が弓矢を持つのが合図だった様に貴族達は馬に跨り始める。

男も女もマスカレードの仮面を被り直す。

ギュスターヴが、

「私達も行こう。」
と話掛けてきた。

テントの前にはギュスターヴの馬が用意されている。

「アンジュ様、私共はこの場にて失礼します。王子と善き夜を。」

ギュスターヴは私の腕を取り、足早に馬に近寄り言った。

「今夜はこれ以上王子に近づくな。見合いが台無しだ。」

「えっ見合い!?」
驚いて、引っ張られていたけれど、私も早足で歩調に追いつく。

「お前、気がつかなかったのか?」

ウンウンと首を振るけどね、解るはずないよ。

「何でお前がマスカレードに招待されたのか皆目わからん。」
ギュスターヴにため息をつかれた。
むっ、私だって何でこんな時代劇に参加してるかわからないよ~だっ!
大体、小一時間前は未来に居て、今頃シャトーに戻ってる頃でこのややこしい事態に付いていけないよ。

と、言葉に出さずに心の中で言ってみる。

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