フェザールスタの肖像


「舌を噛むなよ。噛んでも馬は止めないからな。」

ギュスターヴは、馬のアブミで器用に立ち上がり、メイドから受け取った弓矢を背中の弓筒から引き出した。

静かに馬を進め貴族達の中心に進む。

夜会服の紳士淑女は静かに馬をなだめている。

静かな緊張感。


「夜咲鳥を捕まえた者は王子から褒美がある。皆の者健闘を祈る。」

ギュスターヴは月夜に真っ直ぐ矢をかかげ、ふっとお腹に力を入れた。

グッとしなる弓に矢の先に何か装置の様な白い筒がついている


ブンッ。弓から矢が離れて夜に吸い込まれた。

刹那、ヒュ~と高い音をならしながら矢は地上部に落ち

バッンン


赤い石火が走り、金色の花火が暗闇に幾重にも舞い上がる!

「…花火?」
と呟くより
「行くぞっ!」

と王子が馬を走らせると、皆が馬にムチを入れる。

ドドッ、ドッ、ドドッとヒズメで大地を鳴らす貴族と馬達が光に向かっていく。
空には黄金の光に舞う、白い鳥が見える。

白い長い尾を揺らして、羽ばたいている。

光と音に驚いたのか、アチコチに飛ぶ夜咲鳥。

それは黒いベルベットに一気に真珠を転がした様で

「本当にキレイ…なんて綺麗なの…」

と声に出して
< 62 / 94 >

この作品をシェア

pagetop