フェザールスタの肖像
「やだっっ!殺さないで!!」

私は叫んだ、どうしてこんなに綺麗なのに殺してしまうの?
なんとか一人で馬を降りて、ギュスターヴから夜咲鳥をもぎ取った。
暴れる様子も無く大人しい。

「どうして逃げないの?」
ギュスターヴに聞いている間も大人しい。
もっと暴れるかと思ってた、バタバタと羽根を散らして騒ぐ所を想像してたから拍子ぬけした。

胸に抱く鳥は小さくフルフル震えと怯えてる。暗闇にうつろう淡い白い羽が小刻みに揺れる。
「夜行性の鳥だから花火の光で目が見えないんだ。」
ギュスターヴは、パンツのポケットから細い革紐をだして、鳥のくちばしをグルグル縛った。
「ちょっとかわいそう。」
小さくクククッと喉を鳴らす弱々しい姿。

「つつかれたいのか?」
フンと鼻であしらうギュスターヴ。

イヤミ~、一言多いよ。

「何かいいたげだな?不満か?」


ヒュンッー…ドンッ!!!

大きな爆発音が鳴り響き、一瞬昼の様にまわりが明るくなる。

ギュスターヴの背後から、人々のざわめきと、「王子!」と口々に叫ぶモノだから、爆発音で王子に何かあったの!?


と、ギュスターヴに話し掛ける前に彼は馬に飛び乗り、素早く私の前から走り出した。
「そこを動くなよ!」

ギュスターヴの背中から聞こえた声。
マントが空気をはらんで大きくなびく。
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