フェザールスタの肖像
緊張した声で聞くギュスターヴ。
「さっき、お城で初めて会った。……その時、王子もいたけど。」
「なに、王子が居たって?!」
短い驚きを声を上げたまま、それ以上は話さなくなった。

馬のたてがみが揺れて、波打っている。
頬に当たる風が冷たいと初めて感じたと思ったら、霧雨が降り出してきた。
夜咲鳥が益々、身を小さくしている。そこだけ小さな温かさを感じてる。

お腹に廻された腕に力が入ったと思ったら、ギュスターヴが馬を蹴った。
馬が勢い良く前へ前へと駈けていく。

蹴り上げる土飛沫をドレスに感じてその早さに怖くなった。
歯を食いしばり、恐怖に耐えている



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