フェザールスタの肖像
「ドレスに付いた血を洗ってみます。」丁寧に足を洗い終わり、エマは立ち上がりながら私に言った。

私は、ドレスを脱ぐ為に背の金具に手を伸ばす。

なかなか届かない、エマは背に周り背中を探って、
「ナナ様!これは一体なんですか?!」

びっくりした声で叫ばれ、振り向いた。

「ドレスの背に何か動物か虫の骨みたいな物がビッシリと…」
なんだか気味悪そうに言うから、驚いたけど背をさすり、ただのファスナーの事だと気が付いた。


「気持ち悪い事いわないで、これはドレスの金具で一番上の飾りを下げて欲しいの。」

恐る恐る、ジッ…ジッジッ…と少しづつ下げられていく。

まぁ、と小さくつぶやき。

「なんて精巧な作りなんでしょう、小さな一つ一つが組み合わさって、初めて見ました!」


ファスナーにしきりに感嘆し、ドレスの上部を脱がしてくれる。
私には珍しくないけど、この時代の人には信じらんない位に精巧で緻密に組み合わさった金具に見えるんだろう。

ドレスのあちこちを不思議そうに見ているから、私はちょっと待ってね、と言いながら、スポンと脱いだ。

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