フェザールスタの肖像
自分の中にギュスターヴの声が聞こえてくるけど、理解出来ない。

ギュスターヴに痛い位に腕を掴まれ、引っ張られる様に廊下に出る。
廊下に幾重にも灯るろうそくの火が、二人の影をいくつもの映し出す。

腕が痛くても痛いと言えない。

いくつ階段を下りて、いくつドアを開いて閉じた?
命が消え往く人……王子に会うのが怖い。

物々しい警備、無言で行き交う家来達の前を通り、先程王子が担ぎ込まれた部屋にたどり着いた。


ベットサイドのテーブルに燭台の蝋燭の明かりしかない。
暗がりに、椅子に座ったままの壮年の男達がいる。
若い家来たちではないみたい。

ギュスターヴに体ごと投げられる様に、王子のベット脇まで体を押しやられた。

「アルベール…様…?」
立ち膝で、ベットに近寄る。
小さく声を掛ける、大きな汗粒が頬を流れる。
何も反応を返してくれない。

私は、ベットの脇から王子の手を取る。

ねっとりと濡れた感触に驚き、手を引き抜いた。

私の手は血で濡れている。王子の血だ。

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