フェザールスタの肖像
嫌な予感がして、王子に掛けられた毛布を持ち上げだ。
血が止まらないのか、ベットが血の海。

粗末な布で傷口を押さえているだけの手当。
にじみ出る血、高熱を出しているだろう赤く火照る身体。
腫れ上がる腕や足。
綺麗な顔まで、紫色に腫れ上がっている。

「ひどい…。」

「爆発の共に木の破片が体に刺ささり、傷が多いからだ。」
ギュスターヴが横に立ち、静かに言う。

私は涙を押さえきれなくなり、涙が伝うままギュスターヴにつかみ掛かった。
「酷すぎるよ、ギュスターヴ。こんなの手当じゃないよ。最初に見た医師は衣服の上から脈を測ってた、あれじゃダメだよ。医学が発達していないからって…。」

「なに、どうした?急に?なんだ?」

「……医学が発達していないからって?」



……あ、



………我に帰った。


「ギュスターヴ、お湯!!あと白い木綿の布を長く切り裂いて!」

多分、どこかで見た映画の様な台詞を叫んだ。
でも、本気で叫んだ、出来る事をするしかないじゃない。


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