スキ☆キス
虎子…?
私が首を傾げると、一琉はチッと1回舌うちをしてから言った。
「だから、アイツはどこ行ったんだって聞いてんだろ」
いや、どこ行ったもなにも虎子は私…っ……
あれ?ひょっとして…
「え?もしかして今、虎子がどこに行ったかって聞いてらっしゃる?」
私はまさかと思い、聞き返した。
「お前どんだけ理解力ねーんだよ、さっきからそう言ってんだろ」
うわ…やっぱり
こいつ虎子と私が別人だって信じきっちゃってるよ!!!
「いや、うん、ね。
虎子は野生にかえったみたいだよ」
「は?」
彼女のことは、記憶から抹消しよう
「あーお腹減ったー帰ろ帰ろー」
「てめ…流したな!」
「うーん今日の晩御飯はなにかなー」
「またっ………ん?」
急に一琉は黙りこむと、私の手元をじっと見た。
「それは……」
そう言って私の持っていたヒョウのマスクを指差す
「あ、これあげる。虎子の形見」
「形見!?アイツ死んだのかっ…!?」
虎子の一部だったマスクを両手でつかみ、一琉はバカ正直に私の言ったことを信じてそれを見つめる。