スキ☆キス
 


私の背中に向かって、美奈が言う。



「また逃げるんだ?」



"また"…



「っ、そういう訳じゃ…っ」



振り返ると、予想していた表情とは違って、彼女は笑顔だった。



「なーんて、もう気にしないでよ、あたしも気にしてないしさ。
だってうちら友達じゃん」



そう言って、にこっと笑う。

"友達"と言う言葉に、胸の痛みがスーッと消えていく。



「許してくれるの…?」



弱々しく私が言うと、美奈は相変わらずの笑顔で



「当然じゃん!」



と言った。



「ありがとう…」



下を向くとポタポタと涙が溢れた。

私は何度も何度もありがとうを繰り返して

美奈はそんな私の頭を優しく撫でてくれていた。



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