スキ☆キス
俺は自分の名前が嫌いだった。
女みたいで、それじゃなくてもこんな喋り方なのに、いつも同級生にからかわれて
でも、朱里さんは違った。
『玖海って、いい名前ね
私、変わってる名前って好きなの』
『玖海は優しいわよ、十分、いい男の子じゃない』
朱里さんは褒めてくれたんだ
こんな名前のこと
こんな俺のこと
だから俺は、それから男らしい言葉遣いにするようにしたし、男らしく振る舞うようにした。
もっと、もっと朱里さんに好かれたくて
それである日、やっとの思いで告白したんだ。
俺は、朱里さんが好きなんだって
そしたら
『私も、玖海が好きよ』
って、朱里さんは言ってくれた。
正直すっごい嬉しくて、俺には朱里さんがいればそれでよかった。
朱里さんが俺の幸せだった。
でも、彼女にとっては違ったんだ。